体験談No1の彼女

2010年10月08日

彼女と初めて会った時は衝撃的でした。

電話で相談に来たいと予約があり、その日にやはりいけないと電話があり、

しばらくするとまた電話があり、予約を取り、やはりいけなくなったと電話があり。

そんな事を2~3回繰り返した後、ようやく相談に来られました。

30歳から10年間引きこもった結果、体重が増え続け、140kg。

動かないので、足はパンパンに腫れ、私が触るとそのまま私の手形がしばらく

残っていました。完全な浮腫です。

10年間お世話を続けた母親も高齢の為、もしも歩けなくなっても車椅子も押して

あげれない・・・。という母親の言葉をきっかけに、合宿参加を考えたようです。

彼女にとっては、とても大変な毎日だったと思います。

初めの頃は、朝起きれなかったり、起きれても駅前のミスドの前で動けなくなったと

連絡が入り迎えに行ったりしていました。

感情の起伏も激しく凹んで荒れてすねて喜んでと・・・・。

彼女に聞いた話ですが、なんと夜中に一度脱走したらしいです。

合宿生はお金をもっていないのでそんなことはできないのですが、

自宅が近くだったので、タクシーに乗り込んだそうです。

で?家に帰ったの?っと聞くと、なんと、タクシーの運転手になだめられたそうです。

自分の状況を話し、だからもう帰るんだと話したら、そのタクシーの運転手が

色んな事があるけど、頑張れと応援してくれたそうです。

で、結局自宅には帰らず、そのままUターンしてホテルに戻ったそうです。

いまでは、お互い笑い話になっています。

そんな彼女も、今までたくさんの人に世話になったので、今度は私が社会のために

なる事をしたいと、介護士という職業につく事を決心!

40歳を過ぎてから新たな事にチャレンジするのは、それもまだ完治していない

病気を背負いながら、とても大変なことでした。

学校に行っている最中もさまざまな体の症状や過食・精神不安が訪れながらも

それらをはねのけというか、付き合いながら、確実に資格をとっていきました。

メディケアセンターへも時間を見つけては来られていましたが、

彼女のパワーはすごいものでした。

ある日彼女がこんな事を言いました。

「同年齢の方は、旅行に行くのが楽しみだってゆうけど、私は全く興味がない。

いままで、思いっきり休んできたから、今度はとにかく働きたい。掃除婦でも

なんでもいいから人の役にたつことがしたい」と。

 

一度休み癖がついたらなかなか通常の生活に戻るのは難しいのではと

考えてしまいますが、彼女をみているとつまずいたり停まったり壁に思いっきり

ぶつかったりして倒れてもまたむくっと立ち上がる。立ち上がって固まっているときも

あるんですが、とにかく立ち上がる。

何がそうもさせるのか。といつも考えさせられますが、やはり彼女が素直だからでしょうか。

誰しも問題は起こり、倒れることもあるのですが、彼女は常に素直な対応をしてきているように

思います。私自身、年々、素直さがなくなっていると感じているんですが、やはり素直が一番。

素直になるのが難しい時もありますが、彼女をみていたら、年も関係なく素直になろうと思えば

なれると思えてきます。彼女は、メディケアセンターに来ると今起こっている出来事を

細かく教えてくれます。合宿当初では考えられない彼女のイキイキとした声が

メディケアセンターに響き渡ると私達スタッフも心癒されるものがあります。

何歳からでも遅くない。

何歳からでも始められる。

何歳からでも。

                      kawakami

 

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